コーヒー豆の精製プロセス

今回はコーヒーの実を収穫してコーヒー豆にするまでのプロセスを紹介します

コーヒーの実から種だけを取り出す生産工程ですが、これまでは気候や水資源の有無で選ばれていました。それが、個性が重視されるスペシャルティーコーヒーの登場により、いろいろな手法で行われるようになっています。生産工程によって、コーヒーの味が変わるため、大きな注目を浴びています。

コーヒーの生産工程は大きく2つの工程があります。

1.コーヒーの木になる完熟した実を摘み取る

2.コーヒー生豆を得るため、実から種を取り、乾燥させる

1の部分はどの方法でも同じなのですが、2の部分が4つに分かれ、コーヒーのフレーバーに大きく影響するのです。

代表的な3つの工程をまとめました。

1.ナチュラル (非水洗処理方法)

方法:
収穫したコーヒーの実をまず天日に干して乾燥させます。
その際、地面一杯にコーヒーの実を敷き詰めて乾燥させることもあれば、細かい目の網の上にコーヒーを敷き詰めてより効率的に乾燥させることもあります。
そして乾燥後に、脱穀してコーヒーの種を取り出すやり方です。イメージはお米の収穫に近いですかね。天日干しして乾燥させてから脱穀するような感じです。

メリット:
・水を使わない(川や湖などの水資源がなくても実施可能)
・コーヒー豆に果実のフレーバーが移って特徴的な味になる

デメリット:
・異物や欠点豆や未完熟豆を全て手で取り除く事が難しいため、異物の混入率が高くなる
 (焙煎前にハンドピックで取り除く手間が増える/取り除かないと味が落ちる)
・収穫後、好天が続く地域でないと実施が難しい
 (ただし、最近は高精度の天気予報でピンポイントで実施したり、屋根のある所で乾かすこともある)

味の特徴:
最大の特徴は実をつけたまま乾燥させることで生まれる独特のフレーバーです。
酸味・苦味に加えて、フルーティーで重厚な旨みが口に残ります。
個人的には一番好きな味です。

2.ウォッシュド (水洗処理方式)

方法:
収穫したコーヒーをまず圧搾機(パルパー)にかけて果肉を取り除き、水に浸して、1-2晩程度で薄皮のヌメリが取れたら、天日干しを行うという方法です。
乾燥後、脱穀して薄皮を取り除きます。ナチュラルは乾燥させてから種を取るのに対して、こちらは種を取ってから乾燥させるという方法で順序が逆になります。

メリット:
・雨の多い地域でも実施できる
・水に漬けた際に、比重の違いで異物や欠点豆や未完熟豆を除去できる
 (味にマイナスとなる要素を排除でき、雑味が減る)

デメリット:
・水が少ないと実施できない
・排水が環境汚染につながる(水をきれいにして排水する施設はほぼない)

味の特徴:
欠点豆や未完熟豆を取り除きやすいのと、実をあらかじめ取ってしまうので、味がクリアですっきりした酸味が広がることです。

3.セミウォッシュド(ハニー製法)

方法:
1と2の間のような製法です。まずコーヒーの実を圧搾機(パルパー)にかけて
果肉の何割かを除去して乾燥させます。乾燥後に脱穀して種を取ります。

メリット:
・ウォッシュドに加えて使用する水が少なく、乾燥にかかる日数がナチュラルより少ない
 (ナチュラルとウォッシュドの良い所取りのような製法です)
・果肉の何割を残すかによって、ナチュラルのような風味をどの程度残すかコントロールできる
 (果肉を20%だけ残せば味がすっきりし、80%残せば複雑な風味が生まれる)
・ナチュラルに比べて異物や欠点豆を取り除きやすい

デメリット:
・ナチュラルとウォッシュドの特徴の中間の味わいにしかならない

味の特徴:
さっぱりした味わいと複雑な甘みを両立させることができ、豆の個性に合わせた味づくりを行うことができる。
スペシャリティーコーヒーが人気を得ている中で、各産地がこの製法で 豆の個性を引き出そうと試行錯誤しており、今一番注目されている製法です。

4.スマトラ式

こちらはインドネシアのスマトラ島での精製方法が特殊なため、上記3つとは別の製法と認識されています。

方法:
途中までは2.ウォッシュド製法と同じなのですが、乾燥しきる前に脱穀してしまいます。
小さな農園が脱穀まで行い、その後流通業者がまとめて生豆を乾燥させるという
役割分担が背景にあるようです。

味の特徴:
強いボディとまろやかな酸味をもたらすと言われています。

今は各産地でコーヒーの個性を引き出そうと色々な取り組みをしていますから、スマトラでもナチュラル製法のコーヒーがあったりと色々なバリエーションが楽しめます。

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